注意点
古い仏像、宮殿、須弥壇等を修理に出される時は施行業者に修理工程の写真を添付してもらうことが安心な修理だと考えられます。
水に付け十分に湿気を含ませた後、塗り箔及び下地を削り落とします。
漆によって塗り固められた仏像は、なかなか落としにくいので水につけてめくり、また水につけるといったことを繰り返し行い、出きる限り下地を落とします。
この工程で、各部材を接着した膠がゆるみ、バラバラの状態に解体されます。 解体された部材は、風通しのよい場所に置き乾燥させます。 ←御仏体を解体したところ
バラバラになった部材を再度組み立てます。欠損部分や虫食いのひどい部分は新たな木材を彫刻して補います。小さな欠損や凹凸は、人工木材などのパテを埋め込んで削り出し、表面を綺麗に研ぎ上げます。 最後に仮組立をし、全体のバランスやゆがみ、がたつきなどを補正し、木地修理が完了します。
解体して組み上がられて形→
下地は木地を整え漆による上塗りを綺麗に仕上るための重要な工程です。 下地材にはとの粉を膠で練ったものを使用します。膠は水に溶けますので、後年また修理が必要な時に容易に作業が出来ます。
←下塗り後の御仏体
下地を十分に研ぎ上げ中塗りを施し、さらに研ぎ上げて表面をツルツルに仕上ます。仕上塗り(上塗り)は、通常金箔部分は、金箔部、朱塗り部、彩色部とそれぞれ分けて塗ります。 金箔部は通常黒色消し、彩色部は泥下地を施します。また、仏様の肌の部分は炭研ぎによる特に念入りな仕上を行います。
文殊菩薩像上塗り後→
漆を全体に塗った後、布ですり込むようにふき取ります。漆が乾きはじめ、粘り気が出てきたところで金箔を貼っておきます。貼り終えた後、綿で軽く押さえ、余分な箔切れをハケなどで払いおとします。その後濡れ布などをかぶせて室に入れて漆を乾かします。顔や手など、肌紛仕上の部分は再度漆をかけた後、純金粉をハケで蒔いて仕上ます。 ←金箔押作業中
彩色部に彩色を入れ、面相を書き入れて開眼します。 通常の修理はこれで完成しますが、古代色仕上げの場合は再び漆を塗り、顔料などを調子を見ながらかけて、古さを表現します。宝冠などの飾り金具は、一度洗ってメッキをしなおした後、同様に古代色を施します。 最後に全体を組み立てて修復が完了します。
普賢菩薩像→